150年にわたり、リバティはアート、デザイン、プリント、そしてテキスタイルの創造性を体現する存在であり続けてきました。この節目の年を記念し、ロンドン東部にあるWilliam Morris Gallery にて、新たな展覧会が開催中です。本展では、リバティの豊かなプリントの歴史において、女性テキスタイルデザイナーたちが果たしてきた重要な役割に光を当てます。
2025年10月に開幕した本展は、テキスタイルの分野における女性たちの進化し続ける影響力、そしてこれまで十分に語られてこなかったその存在に焦点を当てたものです。「その歴史を通じて、何百人もの女性がリバティをテキスタイルデザインの最前線に保ち続けるうえで欠かせない役割を担ってきました。彼女たちは、世界中のワードローブや暮らしを彩る何千ものパターンを生み出してきたのです。しかし、とりわけ女性のテキスタイルデザイナーは、一般にはあまり知られていません」と、Róisín Inglesby は語ります。
「本展では、こうした才能ある女性デザイナーたちに光を当てることを目的に、デザイン、生地、そしてファッションを通して、過去150年にわたるリバティ・テキスタイルの変遷を紹介します。」
Althea McNish、Susan Collier、Sarah Campbell、Lucienne Day といった象徴的なデザイナーたちの作品に加え、広くは知られていないものの、同様に大きな影響力を持つ作家たちの作品も一堂に会します。
本展は、William Morris Gallery とリバティ・ファブリックスのパートナーシップにより実現しました。キュレーターのRowan Bain と Róisín Inglesby が、展示の主要作品について解説します。
Women in Print: 150 Years of Liberty Textiles
D・ストーンリー(1933年 リバティのためにデザイン)、 タナローン・コットン(スクリーンプリント)、1970〜80年代
© Liberty Fabric Limited [1933].
D・ストーンリーによるデザイン
Courtesy of the Liberty archive
「『ウィルトシャー・ベリー』は、本展を企画した理由を象徴する作品のひとつです。1933年にミセス・ストーンリーという人物によってデザインされましたが、彼女はリバティを代表する成功したデザイナーのひとりでありながら、その詳細はほとんど分かっていません。リバティのアーカイブにはいくつか言及が残されており、通常は“D.S.”と記され、ある記録ではミセス・ストーンリーとされています。これは結婚後の姓であることを示唆しています。結婚によって姓が変わることが多い女性の場合、国勢調査やアーカイブ記録から人物を特定するのが難しく、経歴を辿ることは容易ではありません。
本展では、『ウィルトシャー・ベリー』や『ベッツィ』、『ジョン』といった彼女の代表作を紹介し、これらの美しいパターンの背後にいる人物へと来場者の理解をつなげていきます。密度の高い小さなスケールが特徴的で、ストーンリーのプリントには時代を超えて通用する魅力が宿っています。『ウィルトシャー・ベリー』は誕生からおよそ100年を経た今もなお、高い人気を誇っています。花ではなくベリーをモチーフにしている点も、このデザインに現代的な印象を与えており、一般的なフローラルパターンに比べて、より固定的な“女性らしさ”にとらわれない表現となっています。」
スーザン・コリアー、サラ・キャンベル(リバティのためにデザイン)、1975年
© The Collier Campbell Archive
スーザン・コリアー、サラ・キャンベル(リバティのためにデザイン)、1970年頃
© The Collier Campbell Archive
「スーザン・コリアー(1938–2011)は、1971年から1978年までリバティのデザイン&カラーコンサルタントを務めました。妹のサラ・キャンベル(1946年生まれ)とともに、リバティを代表する数々のデザインを生み出しています。本作はスカーフのために描かれたもので、リバティの象徴的な“チューダーベサン様式”の店舗外観をモチーフにしています。1975年、創業100周年を記念して制作されたデザインです。
本作を選んだ理由はいくつかあります。まず第一に、デザイン制作における手描きの技術がよく表れている点です。デジタル技術が発展した現在においても、手描きはリバティのテキスタイルにおいて重要な要素であり続けています。第二に、このデザインはリバティを象徴するプロダクトのひとつであるスカーフに着目している点です。そして最後に、実際の店舗外観が描かれていることで、来場者が展示の中で場所のイメージを掴みやすくなる点も挙げられます。リバティを訪れたことがない方でも、この印象的なファサードには見覚えがあるかもしれません。」
マリー・クワント(ジンジャー・グループのためのデザイン)
Liberty/William Morris Gallery
タナローン™コットン
「Women in Print」ファブリックコレクションより
「リバティのテキスタイルは、常にファッションと密接な関係を築いてきました。1960年代には、近隣のカーナビー・ストリートを中心に広がったロンドンのファッションシーンにも支持を広げていきます。ヴィクトリアン調のフローラルプリントへの関心が再び高まるなか、リバティのデザイナーたちはアーカイブを活用し、歴史的なパターンに新たな息吹を吹き込みました。本作のクラシックなポピーデザインもそのひとつで、もともとはLindsay Phillip Butterfield によって1900年頃に生み出されたものです。鮮やかな色彩で再解釈されたこのファブリックは、Mary Quant の手により、「ジンジャー・グループ」と名付けられた手頃なプレタポルテラインに採用されました。当時の広告では、このコレクションが“従来のスタイルを一新し、新しいクールな装いへと変える”とうたわれていました。このスーツは、1966年の映画『アルフィー』のプロモーションビジュアルにおいて、女優のJane Asher が着用したことでも広く知られています。」
ポピーは現在においても、リバティのデザイナーたちにとって重要なインスピレーション源であり続けています。現デザイン責任者のPolly Mason は次のように語ります。「私は昔からポピーの花が大好きでした。子どもの頃、自分の部屋の壁一面にポピーのイメージを飾っていたほどです。ポピーは、繊細さと大胆さという相反する魅力を同時に併せ持っているように感じます。リバティのデザインの歴史において欠かせない存在であり、これまでさまざまなかたちでこの美しい花をアーカイブに加えてこられたことを、とても嬉しく思っています。」
フォイバスのためのプリント原画|1959年
ミッツィ・カンリフ(リバティのためのデザイン)
紙に顔料プリント(スクリーンプリント)
© Liberty Fabric Limited [1959].
「第二次世界大戦後、リバティはデザインへのアプローチを大きく転換しました。デザインに対する社会的関心が高まるなか、同社はよりモダンな美意識を積極的に追求し、著名なアーティストやデザイナーを起用してパターン制作を行うようになります。ミッツィ・カンリフもそのひとりです。アメリカに生まれ、1949年にマンチェスターへ移住した彼女は、1951年のフェスティバル・オブ・ブリテンへの参加を通じて、イギリスのデザインシーンにおいて確かな地位を築きました。カンリフは、BAFTA賞のマスクデザインで広く知られていますが、大規模な金属作品や“スカルプチャー・バイ・ザ・ヤード”と呼ばれるコンクリート作品と並行して、少数ながらテキスタイルデザインも手がけており、本作のスカーフデザインもその一例です。
長年にわたり、リバティのスカーフには多彩な女性デザイナーたちが関わってきました。グラスゴー美術学校にゆかりのある先駆的デザイナー、ジェシー・M・キング(1875–1949)から、抽象芸術家ソニア・ドローネー(1885–1979)に至るまで、その顔ぶれは実に多様です。本展でスカーフに焦点を当てているのは、それがリバティを代表するプロダクトのひとつであると同時に、サイズや形状、素材、プリント技法など、さまざまな表現を試みることのできる場でもあるためです。」
「Women in Print:リバティ・テキスタイル150年」は、ロンドン東部ウォルサムストウのWilliam Morris Gallery にて、2026年6月まで開催されています。